ネットショップで商品を売るなんて簡単でしょ?実店舗を持つよりお金がかからないから、試しにやってみるか…
世間では「簡単に商売ができる」と認識されることが多いネットショップですが、そんなに甘いものではありません。商売はどこの世界でも厳しいのは当然であり、そのうえ直接接客できない分だけネットショップの運営は実店舗の運営より難しいという見方もあります。
皆さんは、ネットショップを出店し1年後に商売を継続できている店舗の継続率がどれぐらいかご存知でしょうか?なんと 1年以上継続できている店舗の割合は、おおよそ30%といわれています。有名モールに出店し、商品を100点以上も出品しているのにもかかわらず、商品が1つも売れずに退店していく店舗もあったりします。
でも売れてる店舗は、日本全国を相手に濡れ手に粟って聞いたことがあるよ?
そういう店舗もあるかもしれませんが、何の苦労や工夫もなく売れているわけではありません。売れている店舗には、その店舗なりのテクニックが存在します。本日は、売れる店舗が“当然のこと”としてやっているテクニックを取り上げたいと思います。
いつでも連絡がとれる安心感の演出が大切
初めて訪れたネットショップで買い物をする際に、購入は良いんだけど何かあった時には何処に連絡をすればいいのだろう?と感じたことはありませんか?
不安=購入のためらいにつながるので、安心して買い物をしてもらえる環境を作る必要があります。いつでも連絡が取れるといった演出の為に、看板に電話番号などの“お問い合わせ”に関する案内を記載しましょう。
看板の右肩などに「お問い合わせはこちら ○○○-△△××」などと記載されていると、お客様は心理的に店舗に対して「オープンなイメージ」や「親切なイメージ」を抱きます。さらに、お問い合わせ窓口が目に付くところにあることで不満を抱えたお客様が問い合わせ(クレーム)をしやすくなります。
これは、モールの店舗レビューに悪いレビューを書かれてしまうリスクを下げる効果もあるので、ぜひお問い合わせ情報を看板に記載してください。
利益第一優先で独自ショップ(独自ドメイン店)からスタートしてはいけない
モールへの出店やASPサービスを利用するのは、土台が用意されているのは良いけどお金がかかるからなぁと考えて、いきなり独自ドメインを取得して店舗を構築していませんか?
確かに独自ドメイン店舗は、売れれば利益率がいいし、不要なロイヤリティを取られることがありません。でも待ってください。何のネームバリューもないのにいきなり独自ドメイン店舗をもっても『海の孤島』のように、そのお店の存在が知られるすべもなく、誰も訪れてくれない可能性がかなり高くなっています。
そんなことないでしょ?と思っていらっしゃる店長さんには一つ聞きたいのですが、では日本には島がいくつあるかご存知でしょうか? 数十? 数百? いくつだと思いますか?
答えは6,800島以上です。
現時点でネットショップは数十万店以上存在するので、その名もなき島々よりも知られる可能性が低いと理解してください。
でももう独自ドメイン店を構築してるし・・・という場合には、他のモール(例えばYahoo!ショッピング)に出店し、多店舗展開をする方法があります。
モールへの出店の利点は、みんなが利用する共通のポイントを取り扱っていたり、モール自体がイベントを企画して店舗に代わって集客を行ってくれる点です。自分の店舗を直接知らなくても、そのモールを知っている人たちが集まりますので、努力すればお客様に自分の店舗に来てもらえる可能性が格段に高くなります。モールの店舗の売り上げが上がってきたら、モールの店舗についたリピーターを徐々に独自ドメイン店舗へ誘導するように、何かしらの特典を加えて紹介するとよいでしょう。
ヒトケを出して、温かみをみせる!店舗を覚えてもらう!
ネットショップは自動販売機とは違うのですが、ネットショップの従業員の動きは表からは確認ができないので、一般的にはお客様は“スタッフ”の存在を意識せずに買い物をしているといわれています。
楽天市場で買い物をする際に楽天市場のトップページから「カテゴリ」や「商品検索」で、お目当てのものを購入する流れを想像してみてください。
商品の検索結果などは、単なる商品のサムネイル画像の集合体となるので、どこのお店の商品が並んでいるのかほとんどわかりません。さすがに実際に購入する段階では送料のこともあるし、お店を意識はしますが支払いなどに気を取られると、どこで購入したかが頭の片隅にも残らず決済完了とともにお店の印象が薄くなります。その為、商品を購入した大半のお客様は、「その商品何処で買ったの?」と聞かれると「楽天」と答えがちです。
その状態を打開するためには、店舗の「人」を意識させるのが効果的です。
売れている店舗では「スタッフ○○の一言」といったコーナーを作ったり、ブログ記事を利用して商品の良さを語ったりして、お客様に商品や店舗をより身近に感じていただく工夫を取り入れています。
顔は特に人の記憶に残りやすいので、顔を出して語れば一石二鳥となります。スタッフの写真や似顔絵を店舗に掲示することで、安心感を与える効果もあります。そのうえ商品の購入率が写真無しと比べると1.25倍ほど上がるといった統計の結果もありますので、積極的に顔を出すようにしていきましょう。
○○円以上で送料無料
最近では、「〇〇円以上の購入で送料無料」といったサービスを実施している店舗をそこかしこで見かけます。
この送料が無料になるというのは、「お得感」を演出できるサービスのはずだったのですが、amazonがある時期に「何でも送料無料で販売していた」という印象を顧客に植え付けたので、いまでは「送料=損」 ととらえているお客様も多くいらっしゃいます。この「〇〇円以上の購入で送料無料」は、単なる送料無料サービスといった一面だけでなく、顧客単価を上げる効果もあるので積極的に取り入れたいテクニックの一つです。
しかしながら、他の店舗がやっているからと「〇〇円以上」の○○の金額を適当に決めてはいけません。根拠のある計算式があります。結局いくらにしたら良いの?と首をかしげている店長さんは、次のような計算をして金額を決めて下さい。
計算1
「平均客単価(売上÷購買件数)」に「平均商品単価(売上÷述べ購買商品件数)」を上乗せした金額
計算2
「平均客単価(売上÷購買件数)」に「低価格商品1or2商品」を上乗せした金額
でも、いくら何でも無料は・・・という店長さんは、全国一律○○円として、公平感を演出して全国各地からの注文を増やす方法もあるので、ぜひ試してみてください。
取扱商品数を一定以上の数にする
ネットショップの管理は大変だから、売れる商品だけ取り扱いたいと思ったことはありませんか?誰もが一度は考えそうな事ですが、売れる商品だけ取り扱っても特別売れるお店にはならないといわれています。いったいなぜなのでしょうか?
その疑問は、売り上げがほとんどない商品でも常設している“コンビニエンスストアーの戦略”を考察することでわかります。コンビニエンスストアーで、あまり売れゆきが良くないと言われている「白飯」ですが、不思議とどこのコンビニに行っても必ず置いてあります。これは、お客様が「あるのが当然」と思っているものが無いと「品ぞろえの悪いお店」とミスリードされてしまうのを防ぐための戦略なのだそうです。
売れる商品だけを取り扱って販売効率を上げようと商品点数を減らしてしまうと、かえって売り上げが落ちてしまうといったことにつながりかねないので、売り上げの効率よりも「品ぞろえの良さ」を優先させた方が良いということがわかります。
加えて、取扱商品数が多ければ多いほどよく売れるといった統計の報告があります。
取扱商品数が「100点に満たないお店」に比べて「101点以上取り扱っているお店」の方が売り上げが5倍以上になるといった報告がありました。さらに「1000点以上取り扱っているお店」の場合には、「100点に満たないお店」に比べると43倍の売り上げになるといった報告もありました。
商品力や価格設定など様々な因子はあると思いますが、この統計結果は見過ごせません。可能な限り取扱商品数は増やしたいですね。
まとめ
いかがだったでしょうか?
上述のお話は“売れている”ECサイトを運営している現役店長さんから直接お伺いしたお話をもとに記載したものです。彼らが“基本”と呼んでいるこの内容は、新規参入店舗や発展途上店舗にとってはテクニックとなりうるのではないでしょうか?
まだ未実施の項目があれば、ぜひとも取り入れて売り上げUPに役立ててください。